FROM FRONT フロントより

年配の方だからといって
かならずしもベテランとは限らない。

この前ね
ランチで昔からある喫茶店に入ったんです。
昭和の雰囲気たっぷりの軽食喫茶です。
お昼だったので
混んでいたんです。
そこの接客担当のおばさまが
えらくテンパっているんです。
焦ってしまっていて
ひとつひとつの動作が7割くらいで
次に進もうとする感じなんです。
水の入ったコップを
テーブルに置き切る前に
手を離してもう振り返っているような
あぶなっかしいったらない。
お店のせっかくの活気に
せわしなさの
わちゃわちゃムードになってるんです。

そんな広くないし
それほど席数も多くない
ちょうどいい大きさの喫茶店です。
今日もし、いますぐ
ぼくが働いたととしても
ひとりでまわせるなあ。
失礼かもしれないけど
わりと本気で思いました。

でね、
そのおばさまがすごいのは
お客さんを断るんです。積極的に。
何名ですか?って聞いて
店内を見渡すんだけど
そんときばかりは、動作2割くらいで
もう答えてる「満席です」って。
店のマスターが
カウンターの厨房から
空いてるよーって呼びかけてるけど
耳に入っていない様子。

満席ですって言ったあとに
「無理です。無理」って念押しする。
初めてだと思う。
「無理です」って
お客さん断る店員さん見たの。

無理ってのは、
その人の叫びのようで
何度も言うもんだから可笑しくなった。
けど、
ぜんぜん落ち着かないので
食後のコーヒーも
さくさくと飲み干してお店を出ました。

でも、なんだろう
腹立ったりとかなかった。
そうなんだと思えました。
そうしてしまうんだなあと
そうしてしまう理由があるのだろうと。
で、
年配の人だからって
ベテランとは限らないと思ったわけです。

日に日に日の出が早くなってるー。
今日もごきげんでありましょう。