FROM FRONT フロントより

事務所の近くに
朝からやっている食堂があります。
いつもより
早くに出たとき
朝食をとるのに
とても便利です。

おいしいし、安い。
おにぎりセットが、510円
単品で選んだおにぎり2個と
追加の150円で味噌汁セットになります。
ありがたい。

ほっとする味。

でもなんだろう
優しい印象の奥に
かなしいがあるんです。
なにかをあきらめたような。

ここ最近
味が薄くなってきた気がしていて
ランチで食べた
とんかつや、生姜焼き、煮魚
どれも、おや?って思う薄さ。
それもあって
おにぎりがいちばんいいなと
今のところ落ち着いているのです。

じょじょに薄味になってきていること
優しい味と、弱い味が
かみひとえに感じるところ。

その原因は、
本当のところわかりませんし、
そっとしておきたいと思う。

けれど、
今日、ちょっとわかった。

店主の顔。

焼き魚定食をテーブルに運んだとき
「つけものいらねえわ」と
つっけんどんに
お客さんに言われて振り返りざまの表情。
ちょうど
ぼくがお会計を終えて玄関に向かうとき
その振り返りたての表情を
目にしたんです。

なんて言うのかな。
怒りでもなく悲しみでもない
やるせないような
色のつかない感情というか
遠慮深いやってられなさ。

なるほど。と思った。

それがいいとか
わるいとか関係なく
ただ、がてんがいった。

そして
その瞬間を目撃した自分にも
おなじものがあったとわかる。
そうか、そうだと、わかる。
その感覚を
嫌悪したりも蔑んだりもしない。

そうか、
そうだ。
うんうん。
そうそう。
それゃそうだよな。
よしよし。

言葉でもなく
声をかけてあげた。
自分の心に。

それも、ぼくで
それは、世界だ。
今日もごきげんでありましょう。