FROM FRONT フロントより

おだやかな朝は
さんざん降った雪のあと。
さらさらとこぼれ落ちる白に
光がさして見惚れてしまいます。

一歩立ち止まるくらいに
見入っているときに
たぶんこう言っている。
「ああ、これだよ。うん。これだ」
その「これ」とは
言葉にできないから
とてもぼやけたように聞こえるけれど
それは言葉にできないのです。

おだやかな
しっくりくる
なつかしい
やさしい
どの言葉も当てはまるけれど
すべてを言い得ていない気になる。
どの言葉にも「ような」と加えたくなる。

なぜ、ビシッと言い切れないんだろう。
それは
とても大切なことだからじゃないかな。

言語化できないのは
できるような
簡単なものじゃないからなんだと思う。
もっというと、ない。
言葉には
できないようになっているんだと思う。

だから言葉にしなくてもいいんだけど
まだ今は、なにかの型に当てはめないと
わかりにくいので
なんとかかんとかやってて
時にはやりすぎてねじれたりもする。

だから、大切なものを
言葉にできないときは
焦らないでいいと思います。
しなきゃいけないと思わなくていい。

すぐに言語化できるものは
もうとっくにあるし、
中にはまがいものもあるでしょう。
だから惑わされたりしないように
それってなんだろう?って
何度も何度も考えるのがいいと思います。
自分に相談する感じで。

コトコトとスープを煮込むように
やさしくやさしく、かきまぜる。
ときには、火を止めて放っておいてもいい。
いつか、そのできあがりを
受け取ってくれる人がいます。
かならず。

できたてだから
おいしいから
カラダにいいからといって
はしゃぐこともなく
えばることもなく
派手な飾りもなく
ただ、あえただけかもしれない。

ほどよい温度で、たべやすい量で。
もしかしたら皿に盛られていなくて
食べていたことも気づかないかもね。
それが理想なんだと思います。
だから難しいのよね。

実は、
時間はたくさんあるんだよ。
善は急げと言うけれど
善はそこにあるだけだもんね。
今日もごきげんでありましょう。