FROM FRONT フロントより

昨日、事務所に向かう道
コインパーキングから
ゆっくりとバックで
クルマが出てこようとしてまして
早めに気づいたもので
譲ろうと立ち止まったんです。

そしたら、
バックランプはついているものの
ぜんぜん出る気配がないんです。
でも、そういうときに限って
渡ろうとしたら急発進されてヒヤリとか
それやだなあと、ぼくもクルマも
譲り合いなのかなんなのか、
その場でじりじりとした間があったんです。

そのときでしたよ。
後ろからやってきたお婆さん
前方のバックで出てくるクルマに気づいた
その流れでぼくを見て
コクリとうなずくやいなや
右手を天にかかげ前進をはじめたんです。
その手は
クルマに対して向けている。
その様は
私は進む。だからクルマよしばし待て。
まじりっけのない
強い意志が伝わりました。

ぼくは遅れをとらずに
お婆さんについていった。
お婆さんは右へ、ぼくは左へ。
ほんの数秒のできごとでした。

お婆さん、かっこよかったなあ。
優しさに強さがあった。

迷うな。
お前が決めるのだ。
思いやりの目を持ち
自分の意思を示して進め。
きっと
そう伝えてくれたのだと受け取りました。
師匠!

思えばね
ぼくとしては譲ったんだけど
もしかしたらドライバーは
なんらかの理由があって立ち止まっていて
その意思を伝える余裕も
なかったかもしれないよね。

もしかしたら自分に
「譲ってやってるのに」という気持ちが
どこかにあったのかもしれない。
そいつがフィルターになってまって
ドライバーの気持ちが見えなかったのかも。

ああ、それにしても
かっこいいお婆さんだった。

ほんのあっという間の出来事。
それをどう感じて
どう受け止めるのか。
人生はおもしろいと
つくづく思います。

まっさらな気持ちを
いまっさらでもいいから
見つめ直してみませんか?
今日もごきげんでありましょう。