FROM FRONT フロントより

残暑の残が濃い。
けれど
朝晩はひんやり。
それでもいいから
もうすこし残っていて。

週末はのんびりしました。
簡易的なキャンプをしたんです。
パートナーとふたり。
なにするでもなく
なんかしら焼いて食べて
ちょっと歩いて。
また食べて。陽が暮れて。

森の中で
木々を通り抜ける風
鳥や虫の声
近くの池で泳ぐ鯉
生き物の音に包まれていて
奏でているわけでもなく
それぞれが発している気配があり
ひとつの森の音になっている感覚です。

たぶん
耳からはわからない音や情報も
受け取っているような気がします。

これこれ
こんな時間を過ごしたかったんだ。
癒されるとは
このことだと思いつつ
夜はしっかりと怖さがあるのが
ああ自然の中にいると
日常にない感覚を認識するのでした。

これといって
なんにもしない。
豊かじゃないか。

帰りに寄った温泉。
これまた
なんにもなくて
なんにもしないを堪能できた。

むかし
サウナに凝って
ひたすら、ととのっていた。
「なんにもしない」ができなかったし
そんな時間に耐えられなかったんだと思う。

その温泉は
本当になんもなくて
内湯と露天のみ。あと、洗い場くらい。
むかし、1度来たことがあったけど
もの足りなく、つまらない温泉だと思った。

キャンプの流れもあったのだろうか。
露天風呂に浸かり
なんにもしないで
ただ、目の前の景色を見る。
山、空
流れる川
飛び交う蝶
ゆれる葉っぱ

しまいには
湯船から出て
ただ座っていた。
風呂にさえ入っていない
本当になにもしていない時間だった。
裸で、なにもしていない。
ぼーーーーーーーーーー。

ぼくの心が
喜んでいるのを感じた。
どうどうと
フリちんで
なにもしないでいいなんて
それが楽しくてたまらなくて
こみあげてくるように
安心とおだやかなぬくもりを感じる。
こんな
しあわせなことはあるだろうか。

ただ、生きているだけでいい。

今まで
なんやかんやと
詰め込んできたんだな。
それもそれ
よくやったよ。
うん。
よくやった。
いいもわるいも
ぜんぶひっくるめて
よくやったよなあ。
そうだろ?
もう、大丈夫。大丈夫だ。
そう言ってあげたい。

ただ、生きているだけでいい。
それを
ぼくが
ぼくに言ってあげたかったんだ。


秋の気配を感じると
鍋をしたくなるよね。
今日もごきげんでありましょう。